今回は、ちょっとネタバレというか、積極的に先入観を与える様な書き方なので、
数は多く無いと思いますが、このブログを読んで戴く方に、
「この本これから読む!」
という方は、以下はお読みにならない方が良いかもしれません。
先の震災の津波被害で死に至り、
しかも原子力災害で遺体回収もされないまま漂う魂が、
超現実の「ラジオDJ」となり、
他のさまよう魂達とのコミュニケーションを経て成仏していく姿...。
”ノーライフキング”の様な、ちょっと突飛な表現アイディアで、
あの大惨事に対する心の納め処を空想してみたのかなぁ、と。
著者の、あの軽妙な語り口が
全編から聞こえてくる様な文章です。
正直に言うと、これは呑み屋の酔譚で、
「...ってさ、こんな感じで救われてってくれてたら、良いかもなぁ」
ぐらいで聞いたなら、
受け入れられた気がします。
むしろ良い話。
でも、販売される書籍の文章として読んでしまうと、
「どう?ちょっと突飛で面白い表現アイディアでしょ?」
という、
違和感と浅薄さのようなものが。
碌に文章も書けない人間が失礼なのですが。
私は震災の被災当事者ではありません。
この文章で心救われた方もいらっしゃるのなら、
その気持ちに冷や水を掛けるのは本望ではないのですが、
どうしても拭えない違和感が残りました。
触れられたく無い部分を「勘違い」で語られているようで、
かえって傷つく方々が居ないかなぁ...と。
非常に複雑な読後感でした。