2013年6月30日日曜日

【本】”残月−みをつくし料理帖”高田郁著 角川刊

シリーズもいよいよ大きな”転”なんだなぁ、という巻。

読後、ふと我が身に。

特に根となる土地も無く、代を重ねた生業も無く
手ずから起こした事業も無く。

資産、蓄えなど言うに及ばず(笑)。

幕を引く時、どこで何をしているんだろう?

今は、取りあえず
不安ではなく興味が。

「ったく、忙しくてやりたい事ができやしない」
てのが良いのかもねぇ。

なんて考えちゃう巻でした。

祝!シリーズ再開♪

2013年6月23日日曜日

【本】”関係ー未来”大鋸一正著 文藝掲載

未来。
この次の瞬間の生と、等しく迫り来る死。
そして生きる事は関係する事。

その生と死を、「生」と「死」として直接描くのでは無く、
小さな生活の描写の中で僅かに浮き彫りにしている。
...様に感じた作品でした。

実際の生活に、生と死は、取り立てて語らずとも
普遍的にあるもの。
でも、意識し続けてはいない。疲れちゃう。

でもそれを語る際に、真正面から
「生き関わり合う、とは」「死とは」
と語るより、
敢えて語らず、

普段の景色の中でほんのちょっと浮き立たせて見せられたほうが、
身に迫り、
考える。

のを、
教えられた気がしました。

【本】”想像ラジオ”いとうせいこう著/文藝掲載

今回は、ちょっとネタバレというか、積極的に先入観を与える様な書き方なので、
数は多く無いと思いますが、このブログを読んで戴く方に、
「この本これから読む!」
という方は、以下はお読みにならない方が良いかもしれません。

先の震災の津波被害で死に至り、
しかも原子力災害で遺体回収もされないまま漂う魂が、
超現実の「ラジオDJ」となり、
他のさまよう魂達とのコミュニケーションを経て成仏していく姿...。

”ノーライフキング”の様な、ちょっと突飛な表現アイディアで、
あの大惨事に対する心の納め処を空想してみたのかなぁ、と。

著者の、あの軽妙な語り口が
全編から聞こえてくる様な文章です。

正直に言うと、これは呑み屋の酔譚で、
「...ってさ、こんな感じで救われてってくれてたら、良いかもなぁ」
ぐらいで聞いたなら、
受け入れられた気がします。
むしろ良い話。

でも、販売される書籍の文章として読んでしまうと、
「どう?ちょっと突飛で面白い表現アイディアでしょ?」
という、
違和感と浅薄さのようなものが。
碌に文章も書けない人間が失礼なのですが。

私は震災の被災当事者ではありません。

この文章で心救われた方もいらっしゃるのなら、
その気持ちに冷や水を掛けるのは本望ではないのですが、
どうしても拭えない違和感が残りました。

触れられたく無い部分を「勘違い」で語られているようで、
かえって傷つく方々が居ないかなぁ...と。

非常に複雑な読後感でした。

2013年6月16日日曜日

背水の陣

背水の陣を敷く、って、嫌いなんですよね。
精神論も。
「最後の活路」「生還の保証」が見えているから全力で闘えるんじゃないですか。
ダメな場合のオプションを語って、「後ろ向きな事いうな!」と激昂するのはちょっとどうかと思うなぁ。

それじゃ部下は全力をださない?...脅迫しなきゃださないんじゃ、
どの道まともには続きませんよね。

「ここ一番の背水の陣、奇襲作戦」
は、本当に一生に一度くらいしか使うべきじゃないと思います。

そういう時は絶対あるとも思うけど。
そういう時は脅迫ではなく、信頼で繋がってなきゃ、負ける。
と思う。絶対。

それに、「後が無い」を常に要求してたら、兵士たちは皆壊れちゃう。
だから、それを
「避け続ける事」
に全力を尽くすべきなのでしょうね。
指揮官は。

ま、優れた指揮官じゃないので、部下に救われっぱなしだけど。
(苦笑)
努力はしようっと♪

http://ja.wikipedia.org/wiki/永遠の0