2014年7月27日日曜日

【本】たまらん坂 黒井千次著 講談社刊 ”ナツヨム選書/長谷川書店・水無瀬駅前 長谷川さん選” 

”ナツヨム”が無ければ、
全く手に取る事の無かったと思う本です。

作も作者も全く知らず。

中央線沿いに点在する、ちょっと奇妙?な地名を軸に
停年(定年、ではなく左記の表現)近い五十路の男達の
ほろ苦さや、微妙に”痛い”心の動きが綴られた短編集。

実はちょっと得意ではない
”文学”的文章に戸惑いつつ、でも
忌野清志郎が”若い男の声で..."と綴られる時間の距離感、
全てリアルに、今も通り過ぎる地名、
そして私も間近に迎える
サラリーマンの五十路の心情世界...。

不思議な散歩を終えた様な読後感でした。

あらためて、訪ねてみるかな?
自転車で行けるところばかり♪

それにしても、
しっかりした紹介者
”ソムリエ”?
がいると、
本の世界はやっぱり面白いですね。

”ナツヨム”、楽しいです!

本↓
http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2900173

ナツヨム↓
https://www.facebook.com/natuyomu/info


2014年7月26日土曜日

【本】「消費」をやめる 〜銭湯経済のすすめ 平川克美著 ミシマ社刊 

”デフレは起きていないんです”
に、すっきり。
やっぱりそうですよね?

通貨の価値が異常上昇して、物価が下落している...
という感覚を持った事が無く、じゃによって
”インフレ誘導”の政策方針にずっと違和感があったのですが、
本書でサクッと指摘されて、ああ、やっぱり感。

”物価が安くなったのは、低原価の品物を
低価格で売っている販売戦略なだけであって、
高額なものはキチンと高額のまま。
総体としての物価は別に下がっていない”

そこに、あえて”インフレ誘導”をして
貨幣価値を下げる戦略をとったら...。
原発停止で
”エネルギーコストが大問題”
なのに、あえて円の価値下げるんだ...???
政策は何を目指しているの??
(これは書中ではなく私の疑問)

など、特に経済問題に関しての
”なんだかもんやり違和感あるなぁ”
という部分に対して、「平川解」
をすっきり提示してくれる本でした。

ただ、全般に、
「平川さんの主張!」
を論ずる、というよりは、
「皆、聞いたなりに信じるのではなく、
 自分の感覚で考えませんか?」
との姿勢が受け取れて好感があったのですが、
他の読者さんにはどうなのだろう?

対話書き起こし、のスタイルらしく、
”データがっつり、取材深々のどっしりナレッジ”
をお求めにはちょっと軽いし、
”銭湯経済ライフスタイルのノウハウ本♪”
ではまるでないので、
(そこちょっと期待してた^^;;)
その点は誤解無い方が良いかも。

個人的には、読後のすっきり感は”銭湯”並、でした(笑)。

http://mishimasha.com/books/yameru.html

【本】あしたから出版社 島田潤一郎著 晶文社刊

この本を読んでいる途中で珈琲が飲みたくなり、
豆を挽きました。
シンプルな調整ネジ付きのミルなのですが、
見事に望みの粗さとはかけ離れた挽き上がり。

...この粗さなら、水の量を減らそう...。

この感覚で良いんだよなぁ。

べつにいい加減に手を抜いた訳ではなく
調整も考えて、
ちゃんとセットした上での挽き上がり。

もちろん、例えば私が喫茶店主で、
お客様に出すモノであれば
NG。

でも、
自分を自分で望みの”挽き上がり”にする事は、
やっぱり全然できてこなくて、
挽き直す豆もなくて生きて来て。

キチンと望み通りの挽き加減で生きられる事は
素晴らしいと心底思います。素直に。

でも、望まない挽き加減になっちゃった豆を前に、
美味しく飲むお湯の量、温度、ドリップの仕方は
いくらでもある、と。

島田さんのそれのひとつが
「本を出す」
ひとになる、事だったんだろうなぁ...などと。

テンポが良くて、”すっと入る”楽しい本でした。
「泣き上戸」な面が共感できるから?
あっという間に読了(笑)。

http://www.shobunsha.co.jp/?p=3174

2014年7月15日火曜日

【本】死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日 門田隆将著 PHP研究所刊

必読書。

比喩でなく、
「国を護る」
「世界を護る」
為に、我が命を賭すとはいかなる事か。

吉田所長のみでなく、
言葉通りに命を掛けて闘った皆さんの実録。

自らの故郷はすでに犠牲になっているのに、
国を、より広く世界を護った皆さんの物語。

この人達こそ、
愚策無策の為に犠牲にしてはならない宝だと、
あらためて思う。

なのに、止まぬ愚行。
何度繰り返すつもりなのだろう、我が国は。

2007年5月 大熊町の街角