2014年10月12日日曜日

【本】O介 大鋸一正 著 河出書房新社刊

やっと落ち着いて読める時間が得られたので、
以前購入してあった本書を読みました。

忙しさに流され、怠け積まれる高さを増すばかりの本達を
最近意識して読み進める様にしていて、割に”読んでいる時間”が増えて
気づかされた事があります。

どうあれ小説は、文字というツールのみで
読み手にその物語世界の情景を想起させねばならないのですが、
立ち上がってくる世界の距離感に、いろいろの違いがあるな、と。

TVや映画を観る様に「眺める」距離感で、イメージが普遍的でぶれないモノ、
情景の中に臨場して、視界が内部からのものに取り込まれるもの、
そして、引き込まれて物語の関係者の距離に置かれてしまうもの。

それは優劣や凄い、そうでない、というものではなく、
なんか、”そういうもの”。
(↑こういう所がちゃんと表現できるのがプロなんだろうなぁ(笑))

大鋸さんの小説は、否応も無く
”関係者の距離感”に連れて行かれます。

関係者の距離感...現実の世界の様に、当事者=読者毎に
見えてくる物が異なる世界、だろうな、と。

その距離感で、
「存在」は相対性で築かれているんだよ?
という”危うさ”を
めまぐるしく立ち位置を変えながら見せられて
ちょっと軽く目眩がするような。

そんな読後感でした。

2014年10月4日土曜日

”派遣”って、”新しい働き方”へのチャレンジだったんだよ、1988-93年の5年間くらいは。


以下、あくまで現場所感なので、精密さ正確さは欠いていると思います。
資料的に不正確ですので、その辺の厳密さは必要ならご自身で補完を。
すみません^^;;。

※雑記にて、結論薄くすみません(先に陳謝)。

さて。

キャリアとスキルを手に、会社に縛られず「実力」で業界を駆け回る...。
を、割に本気で追っていたと思います。その頃の「派遣」。

なので当時は、割に”エリートど真ん中”な出自のみなさんも、
この”派遣”という業界に一杯いらっしゃいました。
が、1994年あたりに来た
「不況の波+労働者派遣法の取締強化」
で、大手の派遣先さんがこぞって派遣切りしたら、
彼らはきれいさっぱり居なくなっちゃった。

1996年頃、マネーは戻らないけど仕事は増え始めました。
だけどバブルからの一連の不況で、コストが高く
「減らしたい時に切れない」
正社員は採用したくない、というニーズから、
再び派遣が活況を。
ただ、こんどは徹底した”コスト目線”でのニーズ。
並行して年々厳しくなる、大手の正社員への
「労働者保護にまつわる規制」(←とにかく労働時間の短縮)
の強化もあって、不足する必要な労働を
できるだけ低コストで派遣社員に振りむける...方向に。

当然、上記ニーズなのだから
「派遣→正社員」登用、など人事担当さんは考えていない。
なのですが、日本の労働行政は
”正社員を是、派遣は一時的なもの”
という前提なので、溢れ始めた派遣労働者を前に
「労働者派遣法の改正と、適用取締強化」
を打ち出します。

これにより、
”一定期間同じ仕事をさせている派遣社員の正社員登用の義務”
”正社員と派遣社員の間の顕著な残業時間差への監査指導”
など、派遣を買う側、「派遣先」の義務が強化され、
”雇いたくないから派遣使う”
のメリットが失われてきます。

そこで登場したのが「業務委託(業務請負)」。

”人を借りて来るんじゃなくて、業務を委託するんだから
人に纏わる煩瑣な責任(訴追されてぐったり)は不要♪”

今ココかなぁ。

自社の構成員としてではなく、あくまで
「他社に注文して結果を得る」
なので、
「業務内容とアウトプットが明確でないと成立しない」
のですが、現場は
”今まで通り派遣が使いたい...派遣がだめになった代わりでしょ?”
と、委託業務内容のメモすら作らず、派遣と同じ様に使って、
「偽装請負」
として摘発されはじめています。

それを受けての最新?は、
最近新聞で見たのが
「格差付き正社員採用」
非正規で自社内に働いている社員で、めぼしい人に声をかけ、
「一般正社員」
とは若干(?)異なるけど、「正社員」に「登用」する、と。

いずれも、昔からある業務の形態なのですが、
「如何にして正社員外で正社員の仕事させるか」
に知恵を絞って、
意訳した運用形態を作るのに”躍起”さを感じますね。

ふう。

思うのは、二つ。

「仕事」と、「作業」の差に理解が無くないですか?

「本分」を失っていませんか?

考え方の根底に、
”誰がやっても同じ”
”切り分けてコストさげて”
”・・・”
という考え方を感じます。

...機械的な「作業」であれば、まぁ可能だと思いますが、
”何事か、意味ある結果にたどり着くための総合的な行動”
としての「仕事」は、そういうモノでは無いのでは?

あと、自分の会社が何事か発意し、
また営みを続けるために行う
「仕事」。
まずは”自弁”が本分なのでは?

その本分なく=自弁する気さらさら無く
コスト目線で丸投げ...しかも机を並べ、
同じ床の上にいる”処遇の違う”人間に。

...そこに疑問や違和感すら持たず、
慣れて”当たり前”と思っているメンタリティ...。

最近、目にするモノコト、メジャーなものには
軒並み
”作業”のみで生まれた、”仕事”のこもらない物
を多く感じています。

お互いに本分を全うし、健全に高め合う仕事の仕方。
小さな所にはちゃんとあると思うのになぁ...。

派遣から委託、を歩いて来た目線から見える
今の風景は、こんな感じです。

雑記。