2014年10月12日日曜日

【本】O介 大鋸一正 著 河出書房新社刊

やっと落ち着いて読める時間が得られたので、
以前購入してあった本書を読みました。

忙しさに流され、怠け積まれる高さを増すばかりの本達を
最近意識して読み進める様にしていて、割に”読んでいる時間”が増えて
気づかされた事があります。

どうあれ小説は、文字というツールのみで
読み手にその物語世界の情景を想起させねばならないのですが、
立ち上がってくる世界の距離感に、いろいろの違いがあるな、と。

TVや映画を観る様に「眺める」距離感で、イメージが普遍的でぶれないモノ、
情景の中に臨場して、視界が内部からのものに取り込まれるもの、
そして、引き込まれて物語の関係者の距離に置かれてしまうもの。

それは優劣や凄い、そうでない、というものではなく、
なんか、”そういうもの”。
(↑こういう所がちゃんと表現できるのがプロなんだろうなぁ(笑))

大鋸さんの小説は、否応も無く
”関係者の距離感”に連れて行かれます。

関係者の距離感...現実の世界の様に、当事者=読者毎に
見えてくる物が異なる世界、だろうな、と。

その距離感で、
「存在」は相対性で築かれているんだよ?
という”危うさ”を
めまぐるしく立ち位置を変えながら見せられて
ちょっと軽く目眩がするような。

そんな読後感でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿